不埒な先生のいびつな溺愛
*******

伏見さんとは予定どおりに会った。

約束どおりに彼の家に連れていってもらい、カモミールティーをご馳走になった。

彼の家は先生の家と同じようなシンプルなつくりだが、先生の家にはない装飾品がたくさん置かれていた。

プラネタリウムや、地球儀、キッチンにはワイングラスが逆さまに吊る下がっている。

ソファーは二人がけと一人がけがあり、私は二人がけに座ると、伏見さんは自然と一人がけの方に座った。

「秋原さん、緊張してますか?心ここにあらずって感じですが」

クスクス笑われたが、私は笑えずに頭を下げた。緊張のせいじゃない、先生のことばかり考えてしまうから、心ここにあらずなだけだった。
それが申し訳なかった。

「い、いえ……」

「大丈夫ですよ。今日はくつろぎながら、ゆっくりお話できたらなあと思っただけですから。そんなに悩まないで下さい」

ふいに伏見さんは、私の隣に移った。

ビクリと体が揺れてしまい、彼はまた苦笑いをしながら、少しだけ頬に触れてきた。

「何かありましたか?」

伏見さんは突然、見透かしたような瞳でそう聞いた。笑っているけれど、何か諦めている、そんな瞳だ。

どうしよう、どう答えればいい?

先生のことが気になって考え込んでしまっていたなんて、そんなこと正直には言えるわけがない。でも、「何でもありません」と言うからには、きちんと伏見さんとのデートに集中しなければならない。

でもそれは無理そうだ。

先生の顔が、まるで喉に挟まった魚の小骨みたいに、私の胸に引っ掛かり続けている。
< 48 / 139 >

この作品をシェア

pagetop