不埒な先生のいびつな溺愛
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通夜はそれから四日後に、告別式はその翌日に執り行われることとなった。

会社には場所と日程を提出することが規則になっているため、先生はファックスを送ってくれたが、葬儀は家族葬だと記載されていた。

会社の人間の参列の有無については、先生は特に何も言及してはくれなかった。

喪主は一人息子である久遠先生で、叔父さん一家は結局通夜の前日にしか来られないらしい。このことを私に連絡してくれたのは、坂部さんだ。

坂部さんは身内ではないにしても、彼女も先生を放っておくことができないようで、実質、先生に付きっきりで色々とお手伝いをしているらしい。それが少し、彼女にとって負担になってきているようだった。

坂部さんは私に助けを求めていた。

しかし、先生が私を頼ってくれない以上は、こちらから先生の家の葬儀にまで手伝いを申し出るわけにはいかず、何も手を貸すことはできなかった。

会社では、久遠先生の実父が亡くなったという話は周知されていたが、何も変わらなかった。

いつもと同じ、皆自分の仕事をするだけだ。

「家族葬みたいだから葬儀には参列しないけど、告別式の次の日に僕が久遠先生のところにお焼香しに行くからね。アポってわけじゃないけど、秋原さんほうで軽く言っといてもらえるかな」

木島編集長はいつもと変わらぬ調子でそう言った。

私のほうで言っておいてと言われても、私だってその日まで特に先生に会う予定などはなかった。
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