不埒な先生のいびつな溺愛
それから毎日、昼休みはこの空き教室で久遠くんと過ごすようになった。
久遠くんは本を読んで、私は勉強をして、息抜きのタイミングが合えばとりとめのない話をする。
やがて私は良いことを思い付いて、久遠くんに提案をした。
私には買い漁ったいいものの読めずに部屋の机に積んであるだけの本が大量にあり、それを久遠くんに貸し付けて読んでもらおうと考えたのだ。
彼に読んでもらえれば、読みたくてそわそわした気持ちからは解放されるんじゃないかと思ったからだ。
久遠くんは快諾してくれた。
「タダでいいのか?」
「もちろんだよ!迷惑じゃなければなんだけど」
「……別に迷惑じゃない」
さっそく新品を一冊手渡すと、久遠くんは受け取って、すぐに表紙を開いた。
その動作は、いつも彼が自分の本を扱うときよりとても丁寧で、私はその手つきにドキドキしていた。
長い指が、ページのはしさきをパラリと掠めていき、本は彼の指に従って綺麗にめくれていく。
つい気になって、久遠くんの手元を上から覗き見ると、彼は本をパタンと閉じた。
「だめだろ」
私を見上げて、彼は少しだけ笑った。
「お前は勉強すんだろ、秋原。俺が読んどくから集中しろよ」
─わっ………。
「あ……うん」
今まで意識していなかったけれど、久遠くんの綺麗な顔で笑いかけられるのは反則だ。