不埒な先生のいびつな溺愛
久遠くんはこんな風に、今までずっとクラスの皆をイライラさせてきたんだろう。ついに居場所がなくなって、この空き教室に避難してきたというわけだ。
クラスの人たちにも同情するが、久遠くんにも同情した。だって、どうしたって久遠くんが勉強せず本を読むことは、人をイライラさせてしまう。
それなら彼はどうすることもできないはずだ。ここで一人ぼっちでお昼を食べることぐらいしか手立てはない。
「ねえ、久遠くんは、大学受験しないって本当?」
同情したからではないけれど、皆と一緒になって彼を遠ざけることはないと思った。
きっと久遠くんにだって、何か訳があるのだろう。
久遠くんには鬱陶しいと言われるかと思ったが、意外にも、また私を見てくれた。
「……しないわけじゃない。どっか指定校で受ける」
「そうなんだ。指定校、どこかいいとこあった?」
「どこだって同じだろ」
なるほど、たしかにこれは士気が下がるかもしれない。
でもそれ以上に、天狗になっていいほど頭が良いはずのこの人が、こんな考え方をしていることに私は興味を持った。
彼のこの無気力さは最近読んだ小説の主人公に似ている。その主人公にも無気力である理由があったのだから、久遠くんにだって、何か理由があるはずだ。
「お昼あと三十分だね。話しかけちゃってごめんね。私は勉強するから、久遠くんは本読みなよ。あ、あとで感想聞かせてね。中盤までは退屈なんだけど、全部後半の布石だから、ちゃんと読まないと分かんなくなっちゃうよ」
「アンタ、ネタバレすんなよ……」
「“アンタ”じゃなくて、“秋原”ね」
クラスの人たちにも同情するが、久遠くんにも同情した。だって、どうしたって久遠くんが勉強せず本を読むことは、人をイライラさせてしまう。
それなら彼はどうすることもできないはずだ。ここで一人ぼっちでお昼を食べることぐらいしか手立てはない。
「ねえ、久遠くんは、大学受験しないって本当?」
同情したからではないけれど、皆と一緒になって彼を遠ざけることはないと思った。
きっと久遠くんにだって、何か訳があるのだろう。
久遠くんには鬱陶しいと言われるかと思ったが、意外にも、また私を見てくれた。
「……しないわけじゃない。どっか指定校で受ける」
「そうなんだ。指定校、どこかいいとこあった?」
「どこだって同じだろ」
なるほど、たしかにこれは士気が下がるかもしれない。
でもそれ以上に、天狗になっていいほど頭が良いはずのこの人が、こんな考え方をしていることに私は興味を持った。
彼のこの無気力さは最近読んだ小説の主人公に似ている。その主人公にも無気力である理由があったのだから、久遠くんにだって、何か理由があるはずだ。
「お昼あと三十分だね。話しかけちゃってごめんね。私は勉強するから、久遠くんは本読みなよ。あ、あとで感想聞かせてね。中盤までは退屈なんだけど、全部後半の布石だから、ちゃんと読まないと分かんなくなっちゃうよ」
「アンタ、ネタバレすんなよ……」
「“アンタ”じゃなくて、“秋原”ね」