きみが虹を描いてくれた青空の下で

「でも……、カミさん、生まれる前からこんなに出血してたかなぁ。手帳みたら予定日はまだひと月ちかく先だし。それにずっと痛そうだし。陣痛って、カミさんの話だと痛みと痛みのあいだは全然痛くないって言ってたんだ」

「そうなんですか? 私お産なんて全然わからなくって……」


おじさんが女の人の様子を気にしだした。

キャメルの女子高生はまだ運転手さんに文句を言ってる。


「三郷さん、もうすぐ病院に着きますからね、大丈夫ですよ」

「あっ、みさとさんっていうんですね。みさとさん、頑張ってください!」


みさとさんは相変わらず苦しそうな表情で、だけどしっかりこくこくと頷いた。


「……きっと俺の気にし過ぎだと思う」


おじさんが、誰に言うでもなくそう呟くと、病院が見えてきた。

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