きみが虹を描いてくれた青空の下で

「あ、俺、八起。梨元八起」

「なしもと、先輩。あ、私はっ、駒地秋穂、ですっ」

「兄妹でややこしいし八起でいいよ、秋穂ちゃん」

「でも……先輩ですし……」

「やおき! あと先輩も敬語もナシ!」

「じゃ、八起、くん」


私たちはコンビニの明かりが届くベンチに座って、ぎこちなく会話をはじめた。


桜が終わって、新緑の香りが風に運ばれてくる。

今年最初の台風が南から暖かい空気を連れてきてるから、涼しい風と暖かい風が混じって頬を撫でる。

この季節はいつも、この風の変わり目みたいに、なにか変わるんじゃないかって気になる。


実際はなにも変わらないんだけど。


でも今日はいつもと違う。


私、こんなふうに誰かと話すのなんて、いつぶりかな。
っていうか、男の人とこんなふうに話すのなんて、初めてだよ。

1メートルも離れてないところで、並んで座って、話してる。


すごい緊張する。
心臓、口から出そう。


どうしよう、会話が続かないよ。

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