甘い毒
私は目線を下方向にずらしつつ「私からのサービスで御座います。…毒入りかもしれませんよ?」と言い放つ。

目の前の男は「へえ…」と言って私の顎に手を触れて上向きにする。

「貴方に罰が当たったら良いと思います。泊まる度に女の人が違うって最低です」

「…クライアントだとしても?ちなみに男も出入りしてたはずだけど?俺の交友関係を見張っていたにしては把握出来てない様だな。やっぱり、お前は出来損ないだ」

「見張ってなんかいません!噂を聞いただけです」

「怒った顔も可愛い。私服でルームサービスに来て何事も無かった様に帰るつもり?」

制服を脱ぎ捨て、貴方に会う為に新調した私服で訪れたのには訳がある。

貴方が頼んだワインは私と一緒に過ごす為の
建前で、私の生まれ年に作られたものだったからだ。

呼びつけられ、毎度の如く意地悪く愛を囁かれたら自惚れても仕方がない。

自分でも驚く、何で傲慢で高飛車な男を好きになったのだろうと───・・・

「毒入りのチョコフォンデュはどうやって食べたらいい?」

「…仕方ないから私が食べさせてあげます」

「…ふうん?やけに今日は素直だな。作ってる最中に毒が回ったか?」

「そうですね、そうじゃなきゃ貴方の所には来てません」

目を閉じると、ゆっくりと唇が重なった。

甘い毒が全身に行き渡るまであと少し───・・・

◆END◆
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