弱虫リフレクション【短編】
「夏祭り、成功するといいですね」
白いテントのすぐ近く。
金槌片手に、クラスメイトの玉木が低い声で言った。
そう、それ。
今日は毎年恒例の夏祭り当日なのだ。
ところが今年はスタッフの人手不足だったらしく、そんなことを聞きつけた玉木がいきなり家に乗り込んできて、一緒に手伝わねぇかって。
マジでびっくりしたぜ。
半ば強制連行だかんな、あれ。
……っつーことで、自治会長の孫娘である栗原さん主導の下、マイクスタンドの設置やらテントの補強やら、急遽夏祭りの準備の手伝いをしていた……わけなんだが。
「そういや、南都(みなと)は?」
ふと、辺りを見渡しながら二人に訊ねた。