わたしのキャラメル王子様
「沙羅いなーい?いないよね?」



暗がりに呼び掛けてるのって悠君?
もしかして、悠君私の安否確認してる?



「返事ないか。じゃ、本日の悠介のお勤めは終了かな。あーあ腹減ったぁ、沙羅ママのハンバーグ5個たべよーっと」



悠君、待って。あのね。



「あの……沙羅、います」



悲しいくらいに震えた声が出た。



「はい?え、なんで?」



悠君は私の声がしたほうを振り返って、なんの迷いもなくテニスコートに入ってきた。



「なにやってんだよこんな時間まで。テニス部とっくに練習終わったろ?しかもひとり?」



フェンスにもたれて座り込んでた私のそばに、猛ダッシュでやってきた悠君のその声は、語気が強くて少しだけ怖かった。

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