わたしのキャラメル王子様
「備品増えてよかったね」



嬉しそうに斜面を上がってきたときの悠君には土埃や木屑がいっぱい付いてて、暗闇のなかを必死に探してくれたことが手に取るようにわかった。



「ごめんね、怖かったでしょ?怪我とかしてない?」



心配になって駆け寄ると



「ごめんじゃなくてありがとうな?あと子供扱いすんな」



ばっさりそう言われてしまった。



「うん、ありがと悠君」



「たいしたことないでしょ、こんくらい」



胸のうちになみなみとあふれかえるこの気持ちは、なんだろう。



「それにしてもさ、3個出てきてラッキーじゃない?」



「ほんと。笑っちゃうね」



顔を上げた悠君がふわふわの笑顔だったから、こわばっていた心も身体もほろりとほぐれた。



「こんなのいちいち気にすんなよ。誰にだって不調や失敗はあるんだし」



「……うん」



誰にも知られず練習をして
その失敗さえこっそり隠そうとした自分が恥ずかしくなった。

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