わたしのキャラメル王子様
「ただね沙羅。ひとりでなんでも片付けようとするのはよくないと思う」



悠君のまっすぐな視線が痛い。



「しんどいって誰にも言えないときこそ、俺にはちゃんと教えてよ。ちゃんと頼ってほしいし、沙羅に頼られる男になりたいんだ」



「……うん、そうだね。ありがとう」



「とにかく、怪我したり迷子にならなくてよかった。女の子がこんな時間まで一人で校内に残っちゃダメだよ、わかった?」



「……うん」



「ん、素直だね。いいこいいこ」



優しく頭をぽんぽんされて、胸が苦しくなる。



何も言えなくなったかわりに、悠君の制服に付いた枯葉をそっとつまんだ。



「ね、このまま一緒に帰れるよね?」



悠君のキレイな瞳が天の邪鬼な私の目を覗きこんでくる。



「……うん」



って勇気を出して頷いたら、悠君の方が私より照れているように見えた。
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