わたしのキャラメル王子様
その日、昼休みになるといつものように悠君がやって来た。
やって来たんだけれども。



「じゃあさ、死期が迫ってたら親に心配かけてもいいわけ?」



「そういう屁理屈抜きで、守りに入らないで外の世界に飛び出す強さは単純にステキじゃん!」



「どこが?男も男だよ、やってることが何もかも中途半端だし」



「あれは優しさでしょ。余命を宣告された女の子なんだよ、デリケートな生き物なんだよ?悠君はあの映画の何を観てたわけ?」



「んー、主人公のワガママなとことか、男のだらしないとことか」



「なにそれ!」



一緒にご飯を食べていた悠君と、まさかの口論が始まった。



驚くことに、悠君はあの映画にぜんぜん感動していなかったばかりか、ストーリーとはあまり関係のない細かな設定にこだわっていた。



そのせいで、顔を合わせて3分とかからず私たちは口喧嘩が始まって……まぁ、よくあることだけど。



感動したシーンが同じだったりして……なんてそんなことを少し期待していた私がバカでした。



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