わたしのキャラメル王子様
「ははほはははふは!
(沙羅のわからずや!)」



「食べながらしゃべらないでよ、何言ってるかぜんぜんわかんない!」



悠君は途端に黙りこんで。



「もぐもぐ……もぐもぐ……ゴックン」



「……?」



「……チューチューチュー。ぷはぁー」



「ん?」



「ふんっ!」



「は?」



これから食べるはずだった食後のデザート(クリームパン)をひったくると、悠君は教室を出ていってしまった。



「子どもの喧嘩だねっ」



京ちゃんに呆れ顔で笑われるのは慣れているけれど、なんか今日は特別ひどいかも、ってへこんだな。



「佐野っていつもあんな?」



「えっ?」



そしたら思わぬ方向から声をかけられて、振り向くとクラスイチのモテ男、南君が私たちを見て笑っていた。



「あいつ見かけによらずアタマ固いのな、さっき言い合ってたのって主人公が病室抜け出して、彼氏と旅に出ちゃうシーンのことだろ?」



「南君、よくわかったね?」



「最後のデートになるかも、って実は切ないシーンだし」



「そうそう!そうなんだよね」



語り合える男子がこんなにも近くにいたっ!



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