折り鶴に、想いはあふれて
その顔に弱いんです

片思いの相手は、南堂部長。三十歳の若さで部長職につく彼は、クールで眼光が鋭い。
ドジな私は怒られるどころか呆れられる方が多く、最初は苦手だった。
印象が変わったのは、クリスマスコスメの企画ポスター用の壁面ディスプレイを担当したときだ。

自信のない女の子に“魔法をかける”というコンセプトなので、“綺麗になりたいと願う女の子の祈り”をイメージ化するために、折り鶴をいっぱい敷き詰めることにした。
口紅と同じ色の紙を作るのが難しく、紙が仕上がったのが撮影日前日。焦って会議室で残業して折り鶴を作っていた。

「ひとりなのか? ほかに人員は?」
「大丈夫です。明日までに間に合わせます」

宣言した私を呆れたように見たあと、部長は紙を折りまげてみて、すぐに手を止めた。

「……手伝ってやりたいが、鶴の折り方なんて忘れたな」

そのときの照れたような顔がツボで。私は部長を好きになってしまった。
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