T I R O L



「今日7月2日じゃん。俺出席番号2番じゃん。」





「…で?」






「俺、訳、当たるじゃん?」







伸也は両手で

懐かしの「ゲッツ」をしながら


あたしを見た。




古い。


こいつはアホか。










けど



その目 ちょっとやばい。


可愛い


騒いでる子らと同類に

されたくなんかないから

言わないけど。









そんなんされたら





なんか 許すじゃん。



許しちゃうじゃん。













「…ミルクプリン。」












「了解!任しとけ!」









結局あたしは 条件つきで

伸也にノートを手渡した。








素直になれないあたしの


精一杯。













そんで、




昨日 訳やっといて良かった


って、心の中で ひっそり思う。







毎月 2がつく日の前日は


なんか わくわくしてる自分がいて







絶対 口には出さないけど






ほんとは

伸也に必要とされる存在が


頼りにされる存在が




それが あたしだってことが









こんなに 嬉しい。






< 11 / 22 >

この作品をシェア

pagetop