最恐ドクターの手懐けかた
「ピアノの設置、出来ました」
ナースステーションに東さんの声が響き渡った。
「もしかして東さん、一人でピアノを運んだんですか?」
驚いて聞くと、違うよと首を振る。
「私、重いものなんて持てないから、遠藤先生と大塚先生にやってもらったんだ」
さすが美人の東さん、人を尻に敷くのが上手い……ではなくて、遠藤先生、その名を聞いた瞬間震えた。
胸がきゅーっと痛む。
あれから一ヶ月近く経っているのに、私はいまだに遠藤先生を忘れられない。
遠藤先生は今まで通り仕事をして、漢マンも絶好調だというのに!
そんな遠藤先生にイラつきもした。
少しくらい、気まずい顔をしてよなんて思った。
だけど、気まずい顔をしないのは、私に気持ちがないからだろう。