仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
再び、優しく唇を食まれて、熱い舌が差し入れられた。

「……っふ」

慧さんの獣のようなキスに翻弄され続け、体力を消耗してしまい、意識が朦朧としている。

瞼が自然と重くなり、開けることができない。



慧さんは私を解放すると、隣に寝転び、柔らかく私の髪を梳いた。

心地良い感覚に、微睡む。



「ねえ、結衣。……これから先も、君を離したくないんだ」


彼は甘い声音で何かを囁いているけれど、よく聞き取れない。





「君が欲しい。――欲しくて、欲しくて、たまらない」

ベッドの上でくたりとなってしまった私は、そのまま意識を失うように眠りについた。
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