仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
「じゃあ今日は面接だけ? 他は誰が呼ばれてるの? オーディションは面接で合格した子だけ?」

「ごめんなさい、それは全然分からないです」

そんなに深く質問されるとは思わなくて、私は慌ててわたわたと両手を振った。
例え知っていたとしても公開厳禁な話題ばかりだ。

こんな言葉の濁し方しか出来ないけれど仕方がない。媛乃ちゃん、本当にごめんなさい。

「ふぅん、そっか! お仕事、一つでも早く決まったらいいねっ」

「うん、ありがとう!」

煮え切らない返事しかしない私に嫌な顔ひとつせず、媛乃ちゃんはとびきりの笑顔を見せた。

しかも応援までしてくれて。本当に面倒見が良いし、なんて優しい人なんだろう。

そして些細な嘘が積み重ねられることに、私を少しも疑うことのない媛乃ちゃんへの罪悪感が募った。

「私は今から打ち合わせなんだ。またレッスンでね! お疲れ様でーす」

媛乃ちゃんは元気に手を振る。
私も「お疲れ様です」と彼女に会釈をすると、媛乃ちゃんは最後にニコッと微笑んで、第二会議室へ向かって行った。
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