仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
待合スペースが併設されている受付フロアは、保護者らしき大人達でいっぱいだった。

どうやら、レッスン室では幼稚園生から小学生を対象にしたプライマリークラスがレッスン中のようだ。

待合室に設置されている大きなスクリーンに、クラス内の様子が映し出されている。そこでは小さな女の子たちが笑顔を浮かべながら発声練習をしていた。

すれ違う保護者の方々に挨拶をしながら受付へ辿り着く。


この事務所のスタッフには元モデルさんが多い。

いつも受付嬢をしている二人の女性も、『ペルラ』所属の元モデルさんだ。
常にキラキラしている彼女達の前に出るだけで緊張感が走る。

「おはようございます」と挨拶をしてから、「ペルラクラス二年目の琴石結衣です。マネージャーの小野寺さんをお願いします」と精一杯の笑顔で伝えた。


受付と待合スペースには、パステルカラーの砂糖菓子のような軽やかでキュートな音楽が流れている。

『この曲に似合わない事柄は禁止』とは、ここで契約を結んだ初日に社長から言われた言葉だった。
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