仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
案の定、受付前にあるソファには『ペルラ』のマネージャー・芹沢(せりざわ)さんが座っていた。
私のマネージャーだった小野寺さんが新郎役として仕事をしているので、彼女が代理マネージャーとして後からやってきたのだろう。

芹沢さんは“お局様”という言葉が相応しい女性マネージャーで、芹沢さんがスカウトしたモデルは有名になる子が多い。

野球選手と結婚して最近世間を騒がせていた美人アナウンサーをこの世界へ最初にスカウトしたのも、芹沢さんだった。

有名じゃない子でも彼女のモデルはお仕事がとっても多いので、マネージャーとしては凄腕なのだろうと思う。

ただ芹沢さんの担当ではないモデルには、かなり厳しめだった。
けれど事実、彼女のマネジメントしたモデルは上に登りつめていくので、その理由もなんとなくわかる。


「琴石にはこの役柄は荷が重いのかもしれません」

その凄腕マネージャー芹沢さんがそう訴えた相手は、あろうことか常盤社長だった。

テーブル越しに芹沢さんと向かい合って座っている常盤社長は、「そうなんですか」と神妙な声音で相槌を打つ。

「このまま撮影が先へ進めば、もっと大変になることは目に見えています」
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