仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
鞭から飴に変わった王子様の表情に、私は役を降ろされるかもしれない状況にも関わらず、きゅうっと胸が締めつけられる。
「先程の話。琴石さんにも聞こえていたと思うけど、君の事務所側からは代役を推されてる」
「……はい」
それでも私は降りたくない。この人だけは失望させたくない。――シンデレラじゃなかったのなら、もう悪い義姉でも構わない!
「次のシーンではもっと良い表情をしてみせます。だから……!」
自分の限界まで挑戦して、このお仕事を最後までやり遂げたい。
言い募った私の両頬へ、常盤社長が手のひらを優しく滑らせる。
背の高い彼に見下ろされるようにして瞳を覗きこまれ、喉にきゅうっとトキメキが詰まった。
「……辞めたくない?」
常盤社長の唇が蠱惑的に開き、甘い響きを持って言葉を紡いだ。
吐息まで聞こえてきそうな至近距離で見下ろされ、胸が苦しくなる。
「はい。絶対に、辞めたくないです」
緊張や困惑、それに胸を締め付けるようなときめきやドキドキが、ぐちゃぐちゃに混じり合って、自分の感情が今どこにあるのかわからなかった。
私はきゅっと下唇を噛み締めて、それを制する。
「先程の話。琴石さんにも聞こえていたと思うけど、君の事務所側からは代役を推されてる」
「……はい」
それでも私は降りたくない。この人だけは失望させたくない。――シンデレラじゃなかったのなら、もう悪い義姉でも構わない!
「次のシーンではもっと良い表情をしてみせます。だから……!」
自分の限界まで挑戦して、このお仕事を最後までやり遂げたい。
言い募った私の両頬へ、常盤社長が手のひらを優しく滑らせる。
背の高い彼に見下ろされるようにして瞳を覗きこまれ、喉にきゅうっとトキメキが詰まった。
「……辞めたくない?」
常盤社長の唇が蠱惑的に開き、甘い響きを持って言葉を紡いだ。
吐息まで聞こえてきそうな至近距離で見下ろされ、胸が苦しくなる。
「はい。絶対に、辞めたくないです」
緊張や困惑、それに胸を締め付けるようなときめきやドキドキが、ぐちゃぐちゃに混じり合って、自分の感情が今どこにあるのかわからなかった。
私はきゅっと下唇を噛み締めて、それを制する。