仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
常盤社長から一階にあるバスルームやトイレ、サンルーム等を紹介をされた後、ダイニングテーブルに着く。
その頃には、秘書の藤堂さんは既に帰宅していた。

常盤社長は慣れた仕草でワインセラーを開くと赤ワインのボトルを開け、テーブルにセッティングされていた二つのワイングラスに注ぐ。

シェフが出来上がった料理を前菜から順番に運び「お召し上がりください」と言う頃には、ダイニングルームはいつの間にかフレンチレストランさながらになっていた。

「い、いただきます」

こんな贅沢な食事は私の人生史上初めてだ。

目を輝かせながら、ホテル・エテルニタのシェフが直々に作った美味し過ぎるフレンチに舌鼓を打つ。

いつか『エテルニタ』からもらったお給料で、お父さんとお母さんをこんなフレンチレストランに招待したい。
そのためにも、今日からしっかりと彼と結んだ契約通りに働かなければ。

「メインのお料理はシャラン産鴨肉のロティ、カシスソース添えでございます」

表面をカリッとフライパンで焼きあげた後、じっくりオーブンで仕上げた鴨肉のステーキからは香ばしい香りが漂っていた。

口に含むと、絶妙な赤身の柔らかさとカシスの甘酸っぱいソースがたまらない。
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