よくばりな恋 〜宝物〜


「・・・心配になるくらい迂闊で可愛いね」


鼻先が触れそうな距離まで顔を近付けられて紅の心臓が破裂しそうになる。


フッと笑った空斗が、お邪魔しまーすとどんどん部屋に入って行った。


「はい、ワイン冷やして。これも冷蔵庫」


言われるまま紅が動く。

何かを探すように部屋を見回していた空斗が目的のものを見つけたらしく、買ってきたパソコンを早速開けて紅が食事も勉強も全て済ませるローテーブルにセットし、何かを打ち込み始めた。

白で統一された家具の置かれた小さな部屋、ピンクのカバーがかかったベッドに寄りかかりパソコンに集中している空斗。暫くそのファンシーさに不釣り合いな男を見つめる。

お茶でも入れた方がいいのかな、と手持ち無沙汰な紅はケトルを火にかけコーヒーを入れる準備をした。

ミルクと砂糖は必要だろうかと考えながら、ドリップしたコーヒーをトレイに載せて空斗の側まで行くと、パソコンの前に座るように促された。

「立ち上げてみて」

紅の指が電源を入れるとパスワードを要求する画面になった。
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