よくばりな恋 〜宝物〜


「紅、入るよ」

空斗に緊張に強ばる背中を押されて足を踏み入れると、抱いている雪斗が「パパ」と指さした。


「雪斗、早速抱っこしてもろたんか。ホンマに女の子好きやな」


苦笑しながら立ち上がって近付いてくる男性に手を差し出す雪斗を渡す。


「紅、すぐ上の兄の海斗」


「よ、よ、よ、よろしくお願いします」



空斗でイケメンは見慣れているはずなのに、空斗に面差しの似た海斗に心臓がバクバクする。


促され、空斗と一緒に座る。
空斗の父親と母親が真向かい、紅の右手に海斗夫妻、左手に陸斗夫妻がいた。


「ちはやさん、子供たちは?」


「もうすぐ来ると思います。ごめんなさいね、紅ちゃん」


長男の嫁と紹介されたちはやも美しい。


容姿に自信がない紅はこの場で完全に浮いているような気がする。



ふと、自分の左手が温かいことに気付いた。



見ると空斗が座卓の下、手を繋いでくれている。


ここにいる。
1人と違う。



何にも言わないけれど伝わる想い。



フッと紅の身体から力が抜けて、空斗も微笑む。



したーーーーーんっっ!




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