よくばりな恋 〜宝物〜
「ち、ちはや!それ地味に痛いって」
「陸は黙ってて!大体アナタとお義父さんが藍を甘やかすからワガママで生意気に育ってしもて。紅ちゃん、ごめんなさいね」
「あ、いえ・・・」
「ホンマのことやもん!!藍の方がこの人より100倍は可愛いもん!!」
本当に痛かったらしく涙目で必死に藍が叫んだ。
確かに。
100倍ではきかないかもしれない。
「空斗、藍がいちばん好きって言うたやない!藍が空斗のお嫁さんになるんやから!」
いちばん好きーーーー
それは紅も聞いていた。
「藍、好きの種類が違う」
空斗が深く息を一つ吐いて藍に言った。
「藍のこと好きなんは、可愛い姪っ子やし妹みたいでもあるし、家族に向ける『好き』。紅のこと好きなんは結婚したい、愛してるの『好き』。藍には難しくて分からへんかもしれんけど」
空斗が藍に言い聞かせる言葉が紅の心にじんわり浸透していく。
「藍ちゃん」
天使の小さな手の、細く白い指先を紅がそっと握ると、その大きな瞳に僅かに驚きが浮かんだ。
「ーーーーーーごめんね、空くん横取りして。わたしも空くんが大好きなの。宝物みたいに大切。藍ちゃんみたいに可愛いくないし、賢くもないけど空くんのことは世界でいちばん大事にするから」
振り払われない手に少しだけ力を入れる。