よくばりな恋 〜宝物〜
まだ子供で、恋心とは呼べないものだとしても、紅は侮ることなく真摯に向き合いたいと思う。
いつか、藍にも空斗ではない宝物のような誰かができれば、きっと分かり合えるはずだから。
何も言葉を返さず、そっぽを向いたままの藍に苦笑いしつつ、空斗の母が食事にしましょうと声を掛ける。
和やかに食事は進み、藍以外の斯波家の人達にはひとまず受け入れられたようで紅はホッと肩の力を抜いた。
食事が終わると空斗に連れられ、空斗の部屋に案内された。
紅のマンションより広いその部屋の片側の壁は全て作り付けの書棚になっていていっぱいの本が詰め込まれている。
オーディオセット、パソコンが置かれた大きな机、書棚の反対側の壁にはベッド。
紅が初めて足を踏み入れる空斗のプライベートな空間。
部屋を見回していた紅を空斗が引き寄せた。
「ーーーーオレって紅の宝物だったの?」
紅を胸に抱き、その耳に口元を寄せ囁くように空斗が問いかける。
コクリと紅が首を縦に動かした。