よくばりな恋 〜宝物〜
「・・・ネットが出来て文書が作れたらそれで良い?ノートでええやんね?」
笑いながらも空斗が紅に合ったものを探してくれる。紅は黙って空斗の後ろをついて回る。そのうち空斗が店員を捕まえ、紅には分からない言葉を話し出す。
なんで自分はここにいるんだっけ?
なんでそんなに親しくなった覚えのない空斗と一緒なんだっけ?
なんで周りの女子の視線が痛いくらいに刺さるんだっけ?
「水沢さん、プロバイダーは?」
「え?プロバイダー・・・?」
空斗が曖昧な笑みを顔に浮かべた。
「ネット・・・ま、いいや。オレが確認する」
空斗が勧めてくれたのはメタリックピンクが綺麗なパソコン。値段も予算内だ。それでも空斗は店員と値段交渉している。
空斗のお陰で値引きの上におまけまで付けてもらえることになった。京都の大病院の子息だと聞いていたから意外だ。
「ん?」
「斯波さん、『まけて』なんて言わはるんですね」
「そら言うでしょ、関西人にはご挨拶と同じやん」