嘘ごと、愛して。
「妬いてくれてるなら、大歓迎」
繋がれた手に力が込められる。
「晴人と並んだよ」
「晴人さん?」
「アイツ、意外に付き合い良いんだよなーけど男2人でパフェなんてキモいから、チョコ買って帰って来たよ」
「そこまでして、チョコ買ってくれたの?」
宿題を見せたくなくて、意地悪で有名店の名前を挙げただけだ。本当は高級店の味なんて、よく分からないし、流行りに乗る性格でもない。
「そうまでしないと、アンタの心は開けないだろ」
「……」
「新学期からアンタは変わったよ。笑わなくなったし、俺に対しても冷たくなった」
「そうかな、」
真凛は毎日、正義に笑いかけていたのかな。
「好きな奴には笑っていて欲しい」
「…ありがとう」
真剣な目をした正義から視線を外す。
"好きな奴"という単語に無反応を装った。
いつから私を好きなの?
どうして一度ふるようなことをしたの?
沢山の質問があるけれど、
唯一分かっていることは、
ーー貴方の好きな真凛は、
此処にいない。
私は真凛じゃないんだよ。