嘘ごと、愛して。
裕貴は驚いたように私を見て、すっと視線を逸らした。
知っていたんだ。
写真を見せてと要求せず、目に入れずとも内容が理解できたようで、話は早い。
「どういうこと」
低い声が出た。
晴人さんを裏切っていたこともそうだが、
幼馴染として知らされていなかったことが寂しい。
「……言いたくない」
「なんで?私たちの間に隠し事なんて、ありえないでしょ」
ショックだった。
どんなことでも話せる幼馴染は、両親以上に大切な存在だった。他者が理解してくれなくても、裕貴なら理解してくれると、本気でそう思っていた。
「私たちはいつも3人一緒だったじゃない」
「……」
「言えないようなことなの?」
「まぁ…」
珍しく歯切れが悪い。
「話してくれないなら、一生、口聞かないから」
「………分かった、話すよ」
急に疲れた顔をして微笑む裕貴の前に椅子を移動させ、机を挟んで向かい合って座る。
「真凛に告白されたんだよ、その写真の日」
「うん」
「断る理由もなかったから付き合い始めた。たった一週間の付き合いだったけれど、それなりに恋人同士だったよ」
「へぇ」
真凛も裕貴も私に隠してたんだ。
「けれど僕は見抜けなかったんだ。真凛が晴人くんとも付き合っているということに」
「はい?それって真凛に二股かけられたってこと?」
「一般的に言うとそうなるね、情けない話だけど」
「なんで?」
「さあ。でもおかしいと思ったんだ、付き合っていることをみんなに秘密にしたいと言ってきた時点で気付けば良かったよ」
真凛の口止めにより、私にも話せなかったってこと?
そんなの身勝手すぎる。