初恋とチョコレートと花束と。
いつもみたいにランドセルの中から鍵を取り出して、玄関にさしこんで回す。

けれど、なぜか音がしない。

まさか・・・、開いてる?

反対側に回してみると、鍵が閉まる音が聞こえた。


・・・が、もう一度音がする。
さっき私が閉めたから、今度は開いた方なんだろうけれど、私は何もやってない。

ってことは・・・中に誰かがいて、鍵を開けたってこと?

知らない人だったらどうしようと思いながらおそるおそるドアを開けると、そこにいたのはお姉ちゃん。

「なんだぁ、お姉ちゃんか。びっくりした」

ほっとしてそう言うと、お姉ちゃんは「ふふっ、ごめんね。おかえり」と笑いながらあやまった。

座って靴を脱いでる途中に、玄関に知らない靴が置いてあるのを見つけた。

この靴・・・誰のだろう?
お姉ちゃんの持ってるやつと似てるけれど、ちょっと違う・・・ような気もする。

「あ、そうだ。今日のおやつは綾の大好きなホットケーキだよ。・・・もちろん、アイス付きでね」

その言葉に、私は急いでリビングへと向かう。

お姉ちゃんの作るおやつはすごく美味しいから、毎日楽しみなんだ。
学校からクッキーとかカップケーキを持って帰ってくる時もあるんだけれど、表面に色とりどりのハートとか星とかお花が描かれてて、いつも食べるのがもったいないって思っちゃうんだよね。


ワクワクしながらリビングのドアを開けると、部屋には知らない人が居た。
お姉ちゃんと同じ制服を着てるってことは、高校の友達・・・とかなのかな?

私が帰ってきたことに驚いてるのか、さっきからずっと動いてない。

「・・・な、な」

な?

「何この子めっちゃ可愛い!え、ちょっと里花、お持ち帰りしていい!?」

「ダメに決まってるでしょ。というかコスプレ衣装なら弟に着せなよ」

「えー、だってさぁ、うちの弟そういうの興味ないんだもん」

・・・え、え?さっきから何の話?

「あ、えーっと、ごめんね急に。うち、美由紀と言います。里花には由紀と呼ばれているけれどね」
あれ?その名前、なんか聞き覚えがあるような・・・。


「あっもしかして、電話の・・・?」

「そう!よかった、覚えてくれてたんだ」
にこっと笑ったその顔が誰かに似てる気がしたけれど、きっと気のせいだよね。

「由紀、一応言っとくけれど、綾用の布とか買ってこないでよね」

私用の、布・・・?

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