沈黙する記憶
☆☆☆

その後あたしたちは二手に分かれて杏を探した。


もうこの街で探していない場所なんてどこにもないかもしれない。


それでも、何度も何度も同じ場所を回り、杏の姿を探した。


結果は今までと同じで、杏の姿はどこにもなかった。


体力だけ無駄に消耗していき、自分たちがやっていることが本当に正しいのかどうかもわからない。


けれど、杏のお母さんは警察の捜査もあれ以来進展がないと言っている。


誰かが杏を見つけ出さなければ、このまま一生杏は行方不明のままなんじゃないか。


そんな不安が渦巻いている。


あたしはみんなと別れて帰る途中、杏の家に寄っていた。


チャイムを鳴らすとすぐに杏のお母さんが出て来た。
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