沈黙する記憶
ラブホテル
あたしは夏男の言葉に心臓が止まるかと思った。


あの日、夏男は杏とホテルに行っていた。


それが現実となって表れて思考回路がついて行かなくなっている。


もう1つ驚いたのは、夏男が車を利用してKマートまで来ているという点だった。


てっきり自転車で移動していると思っていた。


「僕の助手席には必ず杏に乗ってもらうって、決めてたんだ」


夏男にそう言われ、あたしは曖昧にほほ笑んだ。


夏男が車を持っている事さえ知らなかったあたしは、反応に困ってしまう。


いつの間に免許を取り、いつの間に車を買ったのだろう。


一見して中古車だとわかる車に乗り込んで、あたしは車内を見回した。


まだ購入して間もないのか、車内は少し寒々しさを感じさせた。


「いつか、みんなもこの車に乗せて、遊びに行きたいよな」


夏男がそう言い、あたしは「そうだね」と、ほほ笑んだ。


「人数が多いから、その時は克矢にも車を出してもらわないとなぁ」


そう言いながら、丁寧な運転で駐車場を出た。


バックミラーで後ろを確認してみると、克哉の車がしっかりとついて来てくれているのが見えた。
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