沈黙する記憶
☆☆☆

裕斗と2人で逃げるように校門をぬけて、ホッと息を吐き出した。


そういえば、さやと由花は大丈夫だろうか?


マスコミからうまく逃げる事ができればいいけれど……。


「大勢で動くと、逆に声をかけられるかと思って」


あたしの気持ちを察したように、裕斗が言った。


「ありがとう、裕斗」


杏の失踪事件をきっかけに、裕斗の優しさは十分に理解しているつもりだった。


こうして一緒に歩いて帰ってくれる裕斗に、本当に感謝している。


「昨日、夏男の面会に行ってきたんだ」
< 219 / 229 >

この作品をシェア

pagetop