浮気の定理
「ありがとう、じゃあ土曜日はよろしくね?」



そう言って、私もまた布団に潜り込んだ。



隣でスマホの光に照らされながら、そこから目を離さずに、和也は「あぁ……」と気のない返事をする。



それでもそんなのは気にならなかった。



久しぶりの、母でもなく妻でもない時間を過ごせることにドキドキした。



飯島さんにプライベートで会えることも、ちょっぴり楽しみだったのもある。



いつもは終わった後の夫の姿に苛々して眠れないことが多いのだけれど、今日は気持ちよく眠りにつくことが出来た。
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