浮気の定理
「あたしもね?桃子のこと好きなの

あ、変な意味じゃなくてね?

高校の頃から、憧れてたっていうか」



「へぇ~」



ふてくされていた顔が、少しだけ興味深いものになって、私の方を見る。



「だから、あなたとは仲良くなれそうな気がするんだ……同じ桃子を好きな者同士……ね?」



片手で頬杖を付きながら、チラリと彼を見上げると、山本は困ったような顔で笑った。



「あたし、代わりでもいいよ?」



この男と寝てみたいと思った。



桃子を好きな男ってだけでゾクゾクする。



もし、いつか桃子とそういう関係になったとき、どんな風に桃子に触れるのか体験してみたかった。



わかってる……



歪んだ愛情だ。
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