浮気の定理
慌ててそう言い訳する彼が、可愛いと思ったのは本当だ。



「人を好きになるのに、結婚してるとか、彼氏がいるとか、そんなの関係ないよ」



とろんとした目で、彼の目を覗きこみながらそう言えば、彼は目を見開いた。



「や、ダメだろ?倫理的にも……さ

それに木下は俺なんか眼中にないし」



ふてくされたようにそう言って、ジョッキを傾ける。



「こんなにいい男なのに、桃子も見る目ないねぇ?」



山本は私の言葉に乗ってくることもなく、チラッと横目で私を見ながら、そりゃどうも、と呟いた。
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