浮気の定理
9階のフロアに到着し、エレベーターから少し離れた玄関へと向かう。



そこで花を降ろして、鍵を開けた。



「……っ!」



玄関に一足の革靴。



――勇のものだ!



いつもならまだ帰る時間じゃないはずなのに、なんで……?



心臓がバクバクした。



動揺する私を余所に、花は無邪気に何かしゃべってる。



小さく細く息を吐いてしゃがみこむと、花の長靴とレインコートを脱がせてあげた。



「パパぁ~!」



その瞬間、そう呼びながら部屋の奥へと走り出す。
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