浮気の定理
「お前も風呂入っちゃえよ

俺、その間に花を寝かしつけちゃうから」



そう声をかけられてハッとした。



どうやらあれこれ思い悩んでる間に、勇と花はお風呂から出たみたいだ。



端から聞けば、いい夫……いい父親のようなその物言いも、私の耳には悪魔の囁きのように聞こえる。



後で入る、なんて選択肢は許されない。



有無を言わさぬ勇の言葉に、私はそうね、ありがとうと言って小さく頷いた。



上手く笑えたか自信はない。



けれど、花の前で変な態度は出来ないと思った。
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