浮気の定理
何より、レオさんが奥さんのことをあまり悪く言わないところに好感を持ったのに、逆のことをして彼に嫌われたくなかった。



お互い誉めあうけれど、一線は越えない関係が気に入っている。



子供を公園に連れていった話や、お風呂に入れた話、たまに夫婦でDVDを見るなんて話もしてくれた。



聞けば微笑ましくて、羨ましくはあったけれど、いい家族なんだろうなぁと心がほっこりと温かくなったような気がした。



だから、私も負けずに幸せな家族を装う。



いや、実際も幸せなのかもしれない。



だって普段の勇は、いつも優しく穏やかだ。


そう、私が失敗さえしなければ……

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