浮気の定理
だけどここで泣いて怒鳴って罵倒したところで何も変わらない。



私と雅人が別れることはもう決まったことだ。



これ以上無駄な体力は使いたくない。



ムカつくけど、ほんとはすごく頭に来てるけど、もういい。



「いいよ、慰謝料は無しで……

その代わり……早めにこの家から出ていってくれるかな?

必要なものは持っていってくれていいから」



たぶん、今まで雅人に向けた顔の中で、一番無表情だったんじゃないかと思う。



なんの感情も表さない顔。



喜怒哀楽のどの顔も、もうこの人には見せたくなかったから……
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