浮気の定理
そしてそれをずっと私には言わずに、ここにきて慰謝料を払わない理由として持ってきたのだ。



きっとそれを切り札にして、あの女と暮らすための準備をこつこつしていたのかもしれない。



最低だと思った。



雅人に対してじゃなく自分に。



こんな男を信じて、嫌われたくなくて、私は水落に怯えていたのだ。



もう怖いものなんかないかもしれないと思った。



警察にでもなんでも行って、水落のことは解決すればいいとさえ思えた。



今まであの男に屈してきたのは、他ならぬ雅人に知られたくなかったからだ。
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