浮気の定理
こちらもなんとかお礼を言いながら店を出る。



もしかしたら本当は一緒に下まで着いてきてくれようとしたのかもしれない。



でも店内はわりと賑わっており、抜け出せる状態ではなかった。



それでもいろんな気遣いをしてくれたことが嬉しくて、最近ひどい出来事ばかりだった私の心が、少しだけ温かい気持ちになれたような気がした。



真由の腕を自分の肩に回して、もう一方の手で彼女の腰を掴む。



エレベーターに乗り込むと、そのまま二人で壁に寄りかかるように体重をかけた。
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