浮気の定理
「な?言ったろ?

桃子の言うことだって聞かないのに、俺の言うことなんて聞くわけないじゃん」



真由を止めなかったことを責めた私への嫌味のつもりなんだろう。



ほら、見ろ!とでも言わんばかりの顔で、山本が私を見下ろしてくる。



私は彼から顔を背けると、横にいる真由の方に向き直った。



ショートボブだった髪は、ずいぶん伸びて肩についている。



こうして見てるとただの可愛らしい女の子なのに、なんであんなに勇ましいんだろう?



「真由?そろそろその情熱を彼氏とかに注いだらどうかな?

いつまでも私が真由を独占しちゃうのも、全国の男性に申し訳ないもの」
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