浮気の定理
だけど、言えばもっと軽蔑されるに決まってる。



やっぱり……言えっこない。



それから私は待つことを止めた。



あんな迷惑そうな顔をした雅人をもう二度と見たくなかったから……



それでも、もしかしたらこのままいなくなってしまうんじゃないかという不安は拭えなくて、結局彼が帰るまで、ベッドの中で起きていた。



雅人がシャワーを浴びて、ようやくベッドに入り、寝息が聞こえると、私もやっと眠りにつける。



彼が隣にいてくれるだけで、ホッとすることが出来た。



まだ帰ってきてくれてる……



そう自分に言い聞かせて。
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