浮気の定理
「桃子、寝ちゃったね?」
「あぁ、結構飲んでたからな?
元旦那から連絡あったの、やっぱ気になってんのかもな?」
私はあえて助手席に座り、山本は桃子に肩を貸しながら二人で後部座席に座っていた。
そんな二人を振り返って眺めながら、なんとなく寂しい気分になる。
こんな気分になるのは2度目だった。
最初は桃子が結婚すると知ったとき。
だけどあのときは相手が気に入らなかっただけに、寂しいのと悔しいのとが混じったような感情だった。
でも今回はお似合いだと思う反面、大切なものを二つ失ってしまうような寂しさが私の心を支配する。