浮気の定理
さっきまであんなにはしゃいでたのに急に眠くなるなんて、やっぱり今日は飲ませ過ぎたなとちょっぴり反省モードになる。



お会計を済ませて店を出ると、ちょうど山本が桃子を抱えながらエレベーターに乗り込むところだった。



私もあとから乗り込むと、一階のボタンを押してそんな二人を横目でチラリと盗み見る。



やっぱり二人はお似合いだななんて思いながら、なぜか胸がチクリと傷んだことに気づいて驚いた。



その胸の傷みが、桃子へのものなのか、それとも山本へのものなのか、それもよくわからない。



一階についてエレベーターから降りると、そんな気持ちをどこかに追いやって、先にタクシーを拾いに走り出る。



今日は割と早い時間だったからか、タクシーはすぐに捕まった。
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