浮気の定理
「はいはい、わかった

また返すのもおかしいし、有り難~くいただくことにするね?」



観念したようにそう言ってから、じゃあまたねと桃子は電話を切った。



ベッドに寝転びながら耳に当てていたスマホを、無造作に下ろす。



それからふぅぅと、大きく息を吐いた。



――ちゃんと慰謝料も払ってくれたし、これでもうあの男と会うことはないな……



脅えたような悔しいような複雑な表情をした雅人の顔を思い出す。
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