浮気の定理
水落が話した内容はすべて山本も聞いていたに違いない。



いい加減しびれを切らして、あの部屋に駆け込んでくれたんだろう。



よく我慢してくれたと、ホッと胸を撫で下ろす。



会社の同僚である二人を会わせてしまうことだけは避けたかったから……



電話をしておいて、今更なんだと思われるかもしれないけれど、もし自分に何かあった時のためにも、知らせておきたかったのだ。



そのあとの汚い部分は全部、自分が被る覚悟だった。



「桃子はもう充分苦しんだんだし、もうこれ以上……あんなバカな男の事で、かき乱したくないの!」
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