浮気の定理
いつの間にか、涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭いもせず、父に今までの思いをぶちまけていた。



嗚咽に変わる鳴き声は、静かなリビングに響き渡る。



本当は私だって、普通の恋がしたかった。



浮気されるかもしれない恐怖に怯えて、長続きしないような恋なんかじゃない、普通の恋を……



父は驚いたように固まっていたけれど、やがてその目に涙を浮かべて、哀れむように私を見た。



「……真由、すまなかった……お前がそんな風に思ってたなんて……父さん……知らなくて……

そのことは母さんから聞いたのか?」
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