浮気の定理
まだ引っ越したばかりで殺風景な場所に、似つかわしくない赤のビーズクッション。



引っ越し祝いにとプレゼントしたのは私だ。



それを抱えながら、本当は言いたくなかった自分の事情を、ポツポツと桃子に話す。



雅人さんに裏切られた桃子には知られたくなかった事実だったけれど、それでも今は聞いてほしかった。



お揃いで買ってくれた桜色のマグカップに紅茶を入れて、桃子はそんな私の話を静かに聞いてくれる。



不倫していたことには触れずに、桃子はそっとたしなめるように言った。
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